大幅賃上げ特例とは何か

ものづくり補助金には、基本要件よりも高い賃上げ目標を事業計画に盛り込むことで補助上限額を引き上げられる「大幅賃上げ特例」があります。直近の公募回の公募要領では、基本要件である給与支給総額の年平均成長率が+3.5%以上に設定されており、大幅賃上げ特例を使う場合はそこからさらに+2.5%を事業者自身が上乗せし、合計+6.0%以上という目標値を事業計画の中で設定する方式になっています。この数値は公募回によって見直されることがあるため、申請時には最新の公募要領で確認しておく必要があります。
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補助上限額はどれだけ上がるのか
大幅賃上げ特例を適用した場合の補助上限額の上乗せ分は、従業員数によって変わります。従業員5人以下の事業者は+100万円、6人から20人の事業者は+250万円、21人以上の事業者(21〜50人・51人以上のいずれも)は+1,000万円が上乗せされる設計です。従業員規模が大きいほど上乗せ額も大きくなるため、人件費の規模と合わせて検討する価値があります。
大幅賃上げ特例の適用要件となる2つの目標値
大幅賃上げ特例の適用には、①従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上、②事業所内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上、という2つの目標値を同時に達成する事業計画が必要です。どちらか一方だけ達成しても特例の要件は満たせず、未達の場合は補助金の返還義務が生じる点に注意が必要です。
判定のタイミングは要件ごとに異なる
大幅賃上げ特例の2つの目標値は、判定のタイミングが異なる点にも注意が必要です。
最低賃金の判定
事業所内最低賃金は、毎年3月分の賃金台帳をもとに毎年確認されます。
給与支給総額の判定
給与支給総額の年平均成長率は、事業計画が終了した時点で1回だけ判定されます。5年の事業計画であれば、5年分の実績をトータルで見て達成率が判断される仕組みです。
未達時の返還額の考え方
要件を達成できなかった場合の返還額は、どちらの要件が未達だったかによって考え方が異なります。
給与支給総額未達の場合
給与支給総額が未達だった場合の返還額は、導入した設備の時価または残存簿価をもとに算定されます。減価償却が進んでいる分、5年計画の方が3年計画よりも返還額が少なくなる傾向があるとされています。
事業場内最低賃金未達の場合
事業場内最低賃金が未達だった場合は、補助金額を事業計画の年数で割った金額が返還額の目安になります。また、最低賃金引上げ特例を使って補助率が2/3になっていたケースでは、未達時に通常の1/2との差額分を返還する仕組みも設けられています。
特例適用時に審査で見られる視点
「補助上限額を上げたいから特例もつけておく」という計画は通りにくくなっているとされ、事業計画・資金繰り計画・人件費の見通しまで含めて、+6.0%の賃上げが無理のない形で実現・維持できる理由を説明することが重要になっています。特に人件費率が高い業種ほど、資金繰りの見通しを具体的に示しておくことが審査上のポイントです。
交付後も続く賃金台帳の提出
大幅賃上げ特例を適用して採択された後も、事業化状況報告のたびに賃金台帳の提出が必要です。ものづくり補助金では毎年3月分の全従業員の賃金台帳と、最低賃金に該当する従業員の賃金台帳を提出する流れになっており、提出書類の具体的な範囲や形式は公募要領で確認できます。